職場で怪我をしたら会社に損害賠償請求できる?
これまで、相談者の方とお話をする中で、仕事中に事故に遭われた方が、勤務先に対して、損害賠償請求を行うことができる場合があることをご存じでない方が意外と多いことに気がつきました。
勤務先には安全配慮義務があります
従業員は、勤務先から、業務指示を受けた以上、すべて自分の責任で、安全管理を行い、業務を行わなければならないのでしょうか。
そんなことはありません。
勤務先は、雇用契約に伴い、従業員が、その生命・身体などの安全を確保しつつ、労働することができるよう、必要な配慮をすべき義務を負います。
そのため、勤務先は、従業員が業務遂行に使用する設備や組織の管理を十分に行わなければなりません。
勤務先が負う上記の義務を、安全配慮義務といいます。
勤務先に損害賠償請求できる場合とは?
勤務先が、上記の安全配慮義務に違反した結果、従業員が、事故に遭い、怪我をしてしまった場合には、従業員は、勤務先に対して、治療費や、休業損害、慰謝料などの損害について、損害賠償請求を行うことが可能です。
ただし、従業員は、勤務先が、どのような安全配慮義務に違反したのかを具体的に主張し、証明する必要があります。
労災では賄われない損害があります
勤務先が、業務災害に当たると判断して、労災保険の給付申請に協力的な場合、労災保険の給付を受けることで済ませている方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、労災保険では、休業損害の一部が支払われるにすぎませんし、慰謝料等支払われない損害項目もあります。
労災保険のみでは、従業員が被った損害の補填を十分に受けたとはいえないのです。
そこで、労災保険の給付を受けた場合でも、損害の十分な補填を受けるためには、安全配慮義務に違反した勤務先に対して、労災保険では補填されない損害について、損害賠償請求を行う必要があります。
仕事中に事故に遭ったときはどうする?
勤務先に安全配慮義務違反があるかどうかや、いくら損害賠償請求できるのかなどについて、ご自身で判断することは難しいと思います。
損害賠償請求を行うにも、消滅時効の制限もあります。
そのため、仕事中に事故に遭われた方は、身体の治療が一段落した段階で、お早めに、一度、弁護士に相談されることをお勧めします。