親の口座から現金が引き出せない!?その対処法は?
これまで、認知症になったご両親の預金口座から必要な時にお金が引き出せないというご相談を受けることが多くありました。
なぜ金融機関は預金の払い戻しに応じないのか?
金融機関側は、たとえ子であったとしても、ご両親の口座に関する払い戻しの権限がないことを問題にします。
払い戻し権限がない者による預金の払い戻しは無効ですから、金融機関は、後々、無効な払戻しを認め、ご両親に損害を与えたことに対する責任を問われることを恐れているのです。
そのため、いくら子であるということを主張されたとしても、金融機関が、預金の払い戻しに応じることは、原則としてありません。
ご両親に判断能力がある場合の対処法は?
ご両親に判断能力がある場合には、金融機関に問い合わせることで、委任状を作成する等の対処法を教えてもらえると思います。
問題は、ご両親に判断能力がない場合です。
ご両親に判断能力がない場合の対処法は?
ご両親に判断能力がない場合、委任状を作成しても、効力はありませんし、ご両親に意思確認をすることもできません。
そのため、金融機関は、そのままでは、ご両親の預金の払い戻しに応じることは原則としてありません。
金融機関によっては、緊急の場合には、何らかの対処法を教示する場合もありますが、あくまでも例外的な扱いです。
そこで、基本的には、預金の払い戻しの正当な権限を得るためには、ご両親の成年後見人に就任する必要があります。
成年後見とは、一人で財産管理ができないなど、本人に判断能力が全くない場合に利用される制度であり、この場合の援助者のことを成年後見人といいます。
成年後見人は、本人の財産を管理するだけでなく、本人の代わりに契約を結んだり(代理権)、本人が行った取引を取り消したりすることができます(取消権)。
成年後見人は、預金の払い戻しを行う権限を有しますので、金融機関は、安心して、払い戻しに応じてくれるのです。
金融機関からご両親の預金の払い戻しを拒否されたら?
金融機関から、ご両親の預金の払い戻しを拒否され、万策尽きた場合、成年後見人に就任する必要があります。
成年後見人に就任するには、家庭裁判所に対し、後見開始の審判の申し立てを行う必要があり、申し立ての準備や、家庭裁判所での審理には、一定の時間を要します。
そのため、必要が生じたら、できるだけ早めに弁護士にご相談いただくことをお勧めします。