交通死亡事故における慰謝料などの損害賠償金の請求の留意点は?

死亡交通事故は、被害者ご本人だけでなく、ご遺族にとっても耐え難い苦痛と悲しみをもたらします。このような状況で、突然突きつけられるのが損害賠償請求という現実です。
感情的にも肉体的にも疲弊している中で、適切かつ迅速に損害賠償請求を行うための留意点について、ご説明します。
交通死亡事故における損害賠償金の項目の理解が必要です
交通死亡事故の損害項目は、車両修理費、治療費、葬儀費用だけでなく、死亡慰謝料、逸失利益など、多岐にわたります。
まずは、それらの損害が発生しうることやその意味を理解しておくことが重要です。
今回は、そのうち、特に意味が分かりにくいものについて、ご説明します。
死亡慰謝料とは、被害者が被った精神的苦痛に対する償いとしての賠償金です。
近親者慰謝料とは、被害者が亡くなられた場合、被害者だけではなく、被害者の近親者(被害者の父母、配偶者、子など)も、甚大な精神的苦痛を被ることから、その償いとして認められる賠償金です。
逸失利益とは、被害者が死亡しなければ、得られたであろう将来の収入分の賠償金です。
交通死亡事故において特に加害者側の保険会社との間で賠償金の額に差が生じるのは死亡慰謝料、近親者慰謝料、逸失利益です
加害者側の保険会社は、独自の基準で賠償金額を提示しますが、その金額が必ずしも適正であるとは限りません。
特に、死亡慰謝料、近親者慰謝料、逸失利益については、裁判所の基準と比較して低額に抑えられているケースが多いです。
そのため、弁護士に依頼せずに、ご遺族が加害者側の保険会社と示談をしてしまうと、適切な賠償金を得ることはできなくなってしまいます。
特に、死亡慰謝料、近親者慰謝料、逸失利益については、加害者側の保険会社の基準と裁判所の基準との差が大きいため、その差額が合計で数千万円に及ぶことも少なくありません。
交通死亡事故における賠償金に関する示談交渉には専門的な知識が必要です
加害者側の保険会社との示談交渉には、専門的な知識と経験を要します。
加害者側の保険会社は、当然、支払いを最小限に抑えようと行動しますので、ご遺族が直接交渉に臨むと、専門用語や複雑な計算式に惑わされ、裁判所の基準と比較して、非常に低額な示談に応じてしまうリスクがあります。
そして、実際に、加害者側の保険会社と低額な示談に応じているケースもあります。
一度、加害者側の保険会社と示談をしてしまうと、後日、撤回することはできませんので、被害者の無念を晴らすためにも、慎重な判断が求められます。
ご家族が交通死亡事故に遭われたら、弁護士にご相談ください
ご家族が交通死亡事故に遭われた場合に、ご遺族が、悲しみの中で、加害者側の保険会社と慣れない交渉を行うのは、精神的負担が大きすぎます。
また、ご遺族が、裁判所の基準に基づき、必要な証拠を収集・整理して、適正な賠償金額を主張することは非常に困難ですし、仮に、そのような主張ができたとしても、弁護士が代理人に付いていないケースで、加害者側の保険会社がその主張に応じることはありません。
そのため、弁護士に相談、依頼することが必要なのです。
万が一、ご家族が交通死亡事故に遭われた場合には、できるだけ早く弁護士に相談されることをお勧めします。