親や家族が亡くなったときの相続手続きと弁護士に依頼する意味
親や家族が亡くなったとき、深い悲しみの中で直面するのが相続手続きです。今回は、相続手続きを弁護士に依頼する意味について、ご説明します。
親や家族が亡くなったときに必要な手続きは多種多様
親や家族が亡くなったとき、死亡届の提出から始まり、健康保険や年金の停止、銀行口座の凍結・解除、保険金請求、ライフラインの解約など、多くの手続きが待ち受けています。
特に重要なのが、相続放棄の判断です。
故人(被相続人)に借金がある場合、相続人は原則としてその債務も承継します。
これを避けるには相続放棄の手続きを行う必要があります。
相続人は、自己のために、相続が開始したことを知ったときから、3か月以内に、家庭裁判所に、相続放棄の申述を行わなければなりません。
財産調査が遅れれば、知らぬ間に多額の借金を背負う危険があります。
また、相続税の申告・納付は、被相続人が死亡したことを知った日の翌日から10か月以内に行う必要があります。
さらに、令和6年4月1日から、相続登記が義務化されており、不動産を相続で取得したことを知った日から3年以内に、正当な理由なく、相続登記の申請をしないと、10万円以下の過料が科される可能性があります。
被相続人が個人事業を営むなど、被相続人に収入があった場合には、準確定申告を行う必要もあります。
準確定申告とは、被相続人の所得税について、相続人が代わりに申告・納付する手続きであり、相続の開始があったことを知った日の翌日から4か月以内に申告と納税を済ませる必要があります。
これらを正しく理解し、期限内に手続きを終えるには専門的な知識が必要不可欠です。
親や家族が亡くなったときに必要な手続きをすべて一人で行うのは困難
自分でできると思っていても、実際には複雑な書類作成、書類の収集が必要であり、書類の作成・収集後も、金融機関、税務署、法務局などとのやり取りが必要になります。
遺産分割協議書の不備により、手続きが進まない、後日、相続人間で争いが発生する、遺産分割協議書作成時の説明不足等で、相続人間での争いが再燃するといったケースも少なくありません。
保険金や預貯金の請求についても、相続人全員の同意が必要となる場合があり、すべてを一人で進めるには限界があります。
親や家族が亡くなったときに必要な手続を弁護士に依頼するメリットは大きい
親や家族が亡くなったときに必要な手続について、弁護士に依頼するメリットは明確です。
弁護士は、相続人に代わり、各種手続きのスケデュール管理をしながら、複雑な手続きを代行することができます。
財産調査に始まり、必要に応じて、相続放棄の申述、遺産分割協議、税理士と連携しての相続税申告のサポートまで、その全部または一部を弁護士に任せることができます。
遺産分割協議を弁護士が行うことで、相続人間で感情的なやり取りを行わずに済みます。
弁護士に依頼すれば、弁護士費用はかかりますが、すべてを自分で進めようとして、期限を過ぎたり、書類に不備があったり、後々紛争が発生したりすれば、かえって多大なコストがかかる可能性があります。
親や家族の死後に必要な相続手続きでは、期限管理、財産調査、専門家活用が重要です。
悲しみの中で冷静に判断するのは難しいですが、期限は待ってくれません。 だからこそ、早めに弁護士に相談し、安心して次のステップへ進まれることをお勧めします。




