成年後見制度には種類があります
皆様は、成年後見制度に種類があることをご存知でしょうか。
任意後見か法定後見か
成年後見制度とは、本人の判断能力が不十分な場合に、本人を援助する援助者を選び、援助者が本人を保護するために活動する仕組みをいいます。
本人の判断能力が不十分となった場合に、本人や4親等内の親族等の申し立てにより、家庭裁判所が援助者を選ぶ制度を、法定後見制度といいます。
他方、本人が、判断能力の低下前に、自ら、判断能力が不十分になった場合の援助者を選んでおき、その援助者との間で委任契約(任意後見契約といいます。)を結んでおくという制度を任意後見制度といいます。
任意後見制度では、実際に、本人の判断能力が不十分になった場合に、本人や4親等内の親族等が、家庭裁判所に任意後見監督人を選ぶことを求め、家庭裁判所が、任意後見監督人を選んだときに、任意後見契約の効力が発生します。
その場合、予め決められていた援助者が、任意後見人として、本人のために活動できるようになります。
法定後見には3種類あります
法定後見には、成年後見、保佐、補助の3種類があります。
成年後見とは、一人で財産管理ができないなど、本人に判断能力が全くない場合に利用される制度です。この場合の援助者のことを成年後見人といいます。
成年後見人は、本人の財産を管理するだけでなく、本人の代わりに契約を結んだり(代理権)、本人が行った取引を取り消したりすることができます(取消権)。
保佐とは、一人で日用品の購入程度ならできるが、お金の貸し借りのような難しいことができないなど、本人の判断能力が著しく不十分な場合に利用される制度です。この場合の援助者のことを保佐人といいます。
保佐人は、本人が行った取引を取り消すことができます(取消権)。また、本人の同意があり、かつ、家庭裁判所に認められれば、一定の行為を、本人の代わりに行うことができます(代理権)。
補助とは、本人の判断能力が不十分で、お金の貸し借りなどの難しいことを一人で行えるか不安があり、誰かの援助を受けたほうがよいというような場合に利用される制度です。この場合の援助者のことを補助人といいます。
補助人は、本人が同意し、かつ、家庭裁判所が認める一定の行為について、本人が行った取引を取り消したり(取消権)、本人の代わりに契約を結んだり(代理権)することができます。
上記の3種類の制度のうち、実際にどの制度が利用されるかは、家庭裁判所が、主治医の診断書などに基づき、本人の判断能力を踏まえて決定します。
誰が成年後見人等になれるのか?
援助者を誰にするかについては、家庭裁判所の判断に委ねられています。
そのため、申立人が私を援助者にして欲しいと希望していたとしても、希望通りに援助者に選ばれるわけではありません。
また、援助者は、親族から選ばれるだけではありません。本人のために、今後必要となる活動を踏まえて、弁護士などの専門家が選ばれることもあります。
ご家族の判断能力に低下がみられたら?
成年後見人になれば、家庭裁判所の監督のもと、堂々と本人の財産管理を行うことができますので、預貯金管理などをめぐる親族間のトラブルに巻き込まれるリスクを減らすことができます。
ご家族の判断能力に低下がみられた場合、成年後見制度の利用が望ましいのかどうかについて、一度、弁護士にご相談いただくことをお勧めいたします。