円滑な事業承継と相続のポイントは?

事業承継は、単なる財産の移動ではなく、これまで築き上げてきた事業の未来を左右する、極めて重要な経営判断です。そして、同時に、相続という法的側面と密接に関係します。
事業承継の円滑な実施には準備が必要です
多くの中小企業において、経営者の高齢化が進んでおり、後継者の確保と円滑な事業承継が喫緊の課題となっています。
何も対策を立てていなければ、事業承継を円滑に実現することは困難です。
事業承継後の事業の安定と発展を見据え、計画的に準備を行う必要があります。
事業承継と相続は密接に関係します
事業承継を考える上で、相続の問題は避けて通れません。
多くの中小企業において、経営者が株式を独占していますから、経営者の死亡により相続が発生すると、会社の株式が相続財産となります。
複数の相続人がいる場合には、遺産分割が必要となり、遺産分割の結果、会社の株式が複数の相続人に分散してしまいます。
この場合、特定の相続人が事業を承継したいと考えていても、単独で過半数の株式を取得することが困難となり、安定した事業運営が困難となってしまいます。
重要な事業用財産が、経営者の所有のままになっている場合にも、株式と同様に、相続財産となりますので、遺産分割が必要となり、遺産分割の結果、当該事業用財産を売却せざるを得なくなるなと、当該事業用財産を、事業で使用することができなくなるリスクがあります。
事業承継には生前の相続対策が必要です
このような事態を防ぐためにも、生前の対策が極めて重要になります。
最も基本的な対策は、遺言書の作成です。
特に、重要な事業用財産や株式について、誰にどのように承継させるかを記載しておくことで、相続発生後の紛争発生の可能性を低減させることが可能です。
なお、遺言書には、自筆証書遺言、公正証書遺言などの種類がありますが、紛争回避の観点から、公正証書遺言で作成することをお勧めします。
場合によっては、生前贈与を活用することも検討に値します。
計画的に株式を後継者に贈与することで、円滑な事業承継を図ることが可能な場合があります。
そのほかにも、ケースに応じて、様々な対策を検討する必要があります。
事業承継と相続については弁護士に相談しましょう
事業承継と相続は、法律や、税など多岐にわたる専門知識を要します。
経営者ご自身だけで全てを解決することは困難であり、専門家のサポートが必要不可欠です。
弁護士は、事業承継に関する法的な問題点の洗い出しから、遺言書の作成、贈与契約書の作成等、多角的に支援することが可能です。
また、税務上の問題点を検討することも重要ですが、税理士と連携して対応することが可能です。
事業承継は、未来の事業の繁栄を左右する重要なプロセスです。
相続が絡むからこそ、予期せぬトラブルを避けるためにも、一度、事業承継と相続の具体的な計画について、弁護士にご相談いただくことをお勧めします。