退職金は離婚時の財産分与の対象になる?
ご相談をお受けする中で、離婚時の財産分与で、退職金が財産分与の対象になるかどうかについて、ご存じでない方が多いことに気が付きました。
既に支給されている退職金は?
退職金が既に支給されている場合、受給者本人の預金口座に入金されていると思いますので、それが預貯金や現金などとして残っていれば、相手方から、財産分与の対象にならないとして争われることはあまりありません。
将来支給される退職金は?
将来支給される退職金についてはどうでしょうか?
以前は、退職金の支給が相当先の場合、いつ解雇されることになるかわかりませんし、会社自体がなくなることも考えられるため、不確定要素があることを考慮して、将来の退職金を財産分与の対象にはできないという考え方が有力でした。
しかし、最近では、退職金が、賃金の後払いという性格を持つことを重視して、退職金の支給が相当先であっても、財産分与の対象にされることが多くなりました。
相談者の方の中には、配偶者がまだ若く、退職金の支給が相当先であることから、最初から、退職金を財産分与の対象として考えておられない方もいらっしゃいますので、離婚時の財産分与を検討される場合には、将来の退職金を漏らさないように注意される必要があると思います。
相手方配偶者が退職金の額を開示しないときはどうする?
基本的には、別居時点などの財産分与の基準時点での退職金の額を、相手方配偶者に開示してもらう必要がありますが、相手方が、必ずしも、任意に開示に応じるとは限りません。
その場合は、どうすればいいのでしょうか?
相手方が任意に開示しない場合、弁護士会、調停や裁判を行っている場合には裁判所を通じて、相手方配偶者の勤務先に対して、退職金の額を開示するよう請求することが可能です。
相手方配偶者が、退職金を隠そうとしているからといって諦める必要はないのです。
離婚時の財産分与で不安な時は?
上記のとおり、相手方配偶者が、退職金を隠そうとしていても、相手方配偶者の勤務先に対して、開示の請求をすることは可能です。
離婚については、当事者同士では、どうにもならないことでも、弁護士に依頼することで道が開ける場合が多々あります。
離婚時の財産分与で少しでも不安を感じられた場合には、一度、弁護士にご相談いただくことをお勧めします。